04章 / オリジナルフィクション

Violet Frequency ― 海を越える声

雑音の向こうに、懐かしい声。

袖のカットアウトと銀色のベルトを備えた紫のエナメルキャットスーツ
Patent Purple Catsuit MK47 · 写真:IRIS12DDAの販売コレクションより。

海岸の古い送信所は、もう誰も使っていなかった。ところが冬のもっとも長い夜、そこから同じ旋律が繰り返し流れ始めた。ニカにはすぐに分かった。子どものころ、姉が作った曲だった。

紫のキャットスーツをまとい、ニカは灯室へ続く金属の階段を上った。艶やかな表面に月明かりが断片となって映り、下の海は折り重なる黒い絹のようだった。一段進むごとに、旋律が鮮明になっていく。

頂上で見つけたのは、忘れられた機械に丁寧につながれた緊急用の発信機だった。その下には手描きの地図。姉は島にたどり着いていた。この信号が、最後の救助艇を霧の向こうへ導いていたのだ。

ニカは周波数を合わせ、マイクに向かって言った。「聞こえているよ」。遠い海の上で、小さな光が応えた。世界から危険が消えたわけではない。ただ、ほんの少しだけ、孤独ではなくなっていた。

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